筋トレとオートファジーは両立できる!科学が証明した最新メソッド【2025年版】
共有する
筋トレをしているあなたなら、こんな矛盾を感じたことはありませんか?
「筋肉をつけるには、タンパク質をこまめに摂れ」 「でもオートファジーには、空腹時間が必要」
どっちやねん!って思いますよね。筋肉も欲しいし、健康で長生きもしたい。これって、そんなに贅沢な望みでしょうか?
結論から言うと、筋トレとオートファジーは両立できます。
2025年最新の研究では、時間軸でうまく切り替えれば、筋肉を維持・増加させながらオートファジーの恩恵も受けられることが分かってきました。
この記事では、なぜ両者が矛盾すると言われるのか、そして具体的にどうすれば両立できるのかを、科学的根拠とともに解説します。
目次
- なぜ筋トレとオートファジーは矛盾すると言われるのか?
- 時間軸で考えれば両立できる!最新研究が示す科学的根拠
- 筋トレ×オートファジー両立の具体的メソッド
- 向いている人・向いていない人
- 段階的実践プラン:初級→中級→上級
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:二択じゃない、バランスを取る発想
なぜ筋トレとオートファジーは矛盾すると言われるのか?
mTORとオートファジーの拮抗関係
実は、人間の体には2つの「モード」があります。
【成長モード:mTOR】
- 筋肉を作る、細胞を増やす、タンパク質を合成する
- 食事(特にタンパク質や糖質)が入るとONになる
- 筋肥大にはこれが必要
【修復モード:オートファジー】
- 古い細胞を分解して掃除する、リサイクルする
- 空腹時、栄養が入ってこないとONになる
- アンチエイジング、病気予防にはこれが必要
問題は、この2つが同時にONにならないこと。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のDavid Sabatini博士らが1990年代に発見したmTOR(mechanistic target of rapamycin)という分子が、この切り替えスイッチになっています。
食べている時は成長、食べていない時は修復。どちらか一方なんです。
ノーベル賞受賞研究が教えてくれたこと
2016年、東京工業大学の大隅良典教授がオートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
大隅教授の研究により、オートファジーは:
- 細胞内の不要なタンパク質や損傷した細胞小器官を除去
- 分解産物を新しいタンパク質合成に再利用
- 病気の予防や老化の抑制に重要な役割
ということが明らかになりました。
そして、このオートファジーが活性化するには、mTORが抑制される必要があるんです。
つまり、「食べてる時は成長、食べてない時は修復」という構造が、科学的に証明されているわけです。
じゃあ、筋トレ民はオートファジーを諦めるしかないの...?
時間軸で考えれば両立できる!最新研究が示す科学的根拠
2025年最新研究:適度な断食は筋肉を減らさない
ここからが本題です。
2025年9月に発表されたNutrition & Metabolism誌の最新研究で、驚くべき結果が報告されました。
間欠的な軽度断食(Intermittent Mild Fasting)は:
- 骨格筋量を増加させる
- 内臓脂肪を減少させる
- mTOR-オートファジー経路を通じて作用する
つまり、適切に行えば、断食しても筋肉は減らないどころか、増えることさえあるんです。
パドヴァ大学の画期的実験
2020年にJournal of Translational Medicine誌で発表されたイタリア・パドヴァ大学のAntonio Paoli教授らの研究も注目です。
実験内容: 筋トレをしている34人の男性を8週間観察
- グループA:普通に1日3食
- グループB:16時間断食、8時間の食事窓(総カロリーは同じ)
結果:
- 筋肉量の増加:両グループで有意差なし
- 体脂肪の減少:断食グループの方が大きい
- 筋力(ベンチプレス、スクワット):両グループで同程度の向上
つまり、総カロリーとタンパク質量が同じなら、食べるタイミングを集中させても筋肉は十分つくんです。
なぜこれが可能なのか?
筋タンパク質合成の持続時間
テキサス大学医学部のBlake Rasmussen博士らの2009年の研究によると:
- タンパク質を摂取すると、筋タンパク質合成は約3〜5時間持続
- 一定時間空けた方が、次の食事での合成反応が高まる
つまり、「3時間おきにプロテイン」って、実はそこまで効率的じゃないかもしれないんです。
オートファジー活性化に必要な時間
2010年にAutophagy誌で発表されたミシガン大学のDaniel Klionsky教授らのレビューによると:
- 食後12〜16時間でオートファジーが徐々に活性化
- 24時間以上でピークに達する
- ただし、軽度の活性化なら12時間程度でも起こる
完璧なオートファジーじゃなくても、ある程度の細胞掃除効果は得られるってことです。
人類は元々両立していた?
ここで面白い視点があります。
ハーバード大学の進化生物学者Daniel Lieberman教授の研究(2013年、Nature誌)によると、狩猟採集民の生活パターンは:
- 獲物を捕まえたら、みんなでガッツリ食べる
- でも次の獲物が取れるまで、半日〜数日は空腹
- その間も狩りのために体は動かし続ける
つまり、**「食べる時はしっかり食べて筋肉を作り、空腹時は脂肪を燃やしながらオートファジーで細胞を掃除する」**というサイクルを、人類は自然にやってきたわけです。
現代人が1日6食とか食べてる方が、むしろ不自然なのかもしれません。
筋トレ×オートファジー両立の具体的メソッド

基本戦略:時間制限食(Time-Restricted Eating)
一番現実的なのは、16時間断食、8時間の食事窓です。
例:
- 12時〜20時の8時間で食事
- 20時〜翌12時は水・お茶・ブラックコーヒーのみ
メリット:
- 16時間の空腹でオートファジーが活性化し始める
- 8時間の間に2〜3食摂れば、十分なカロリー・タンパク質を確保できる
- 睡眠時間を含めるので、意外と楽
パドヴァ大学の研究でも、この方法で筋肉は普通につきました。
トレーニングタイミングの3パターン
パターン①:空腹トレーニング
- 朝(断食終盤)にトレーニング
- 終わったら食事窓スタート
- オートファジー効果を最大化しつつ、トレーニング後の栄養補給もバッチリ
パターン②:食事窓の途中でトレーニング
- 昼食後にトレーニング
- エネルギーが高い状態でトレーニング
- 終わったらまた食事
パターン③:食事窓の終盤でトレーニング
- 夕方〜夜にトレーニング
- 終わったら最後の食事
- その後は長い断食期間へ
2018年にJournal of the International Society of Sports Nutrition誌で発表されたバーミンガム大学のJavier Gonzalez博士らの研究では、空腹トレーニングでも、トレーニング後にしっかりタンパク質を摂れば、筋肉の合成は問題なく起こることが示されています。
個人的には、ライフスタイルに合わせて選べばOKです。
タンパク質摂取の工夫
8時間の食事窓で体重×2g確保するなら:
例:体重70kgの場合(140g必要)
- 12時:プロテインシェイク(30g)+ おにぎり
- 15時:鶏胸肉200g(50g)+ ご飯
- 19時:魚or肉150g(40g)+ 卵2個(14g)+ 納豆(6g)
結構食べられますよね。むしろ、3時間おきにチビチビ食べるより、しっかり食事として食べる方が満足感もあります。
向いている人・向いていない人
この方法が合う人
✅ ある程度トレーニング経験がある(初心者は食事頻度気にせず食べた方がいいかも) ✅ 朝食抜きでも平気なタイプ ✅ 体脂肪率がそこそこある(減量も兼ねたい人) ✅ 1日2〜3食でしっかり量を食べられる
注意が必要な人
⚠️ 極度に痩せ型で、とにかく増量したい(カロリー確保が最優先) ⚠️ 朝からガッツリ食べないと調子が出ない ⚠️ 夜勤など、不規則な生活をしている ⚠️ 摂食障害の傾向がある
2021年にNutrients誌で発表されたUCLAのDorothy Sears博士らのレビュー論文でも、個人の生活リズム、年齢、性別、遺伝的要因で効果に差があることが指摘されています。
万能な方法じゃないってことは、ちゃんと理解しておく必要があります。
段階的実践プラン:初級→中級→上級

初級:12時間断食から始める
- 20時に夕食終了→翌朝8時に朝食
- まずは「寝てる時間+数時間」の空腹に慣れる
- トレーニングは好きな時間でOK
中級:16時間断食(基本形)
- 12時〜20時:食事窓(2〜3食)
- トレーニング:朝(空腹時)または昼食後
- タンパク質:体重×2g程度を8時間で確保
- カロリー:トータルは減らしすぎない
上級:週2回の24時間断食
- 週5日は普通に食事
- 週2日(非連続)は夕食から翌夕食まで24時間断食
- トレーニングは断食日以外に集中
- より強いオートファジー効果を狙う
2017年にObesity誌で発表されたイリノイ大学シカゴ校の研究では、週2回の24時間断食でも筋肉量は維持されつつ、体脂肪が減少しました。
ただ、これはかなりキツいので、本当に無理のない範囲で。
完璧主義にならなくてもいい
大事なのは、「16時間きっかり守らないとダメ」とか、「毎日完璧にやらないと意味ない」とか、そういうのじゃないんです。
週末は友達と朝からブランチ食べたっていいし、飲み会で遅くまで食べることもあるでしょう。
大事なのは、「ずっと食べ続けない時間を作る」っていう原則です。
例えば:
- 平日は16:8で、週末は緩める
- 基本12時間以上は空腹時間を確保する
- 時々14時間、18時間とバリエーションをつける
ハーバード公衆衛生大学院のFrank Hu教授らの2020年のレビュー(Annual Review of Nutrition)でも、柔軟なアプローチの方が長続きすることが示されています。
完璧主義になりすぎて、ストレス溜まって続かなかったら意味ないですからね。
よくある質問(FAQ)
Q1: 空腹トレーニングは筋肉が分解されない?
A: 心配いりません。2018年のバーミンガム大学の研究では、空腹トレーニング後にしっかりタンパク質を摂れば、筋肉の合成は問題なく起こることが示されています。
重要なのは「トレーニング後の栄養補給」です。
Q2: プロテインは飲んでいい?
A: 食事窓の中であれば、もちろんOKです。むしろ、8時間で体重×2gのタンパク質を確保するなら、プロテインは便利なツールです。
ただし、断食時間中にカロリーのあるプロテインを飲むと、オートファジーが中断されるので注意。
Q3: 毎日やらなきゃダメ?
A: いいえ。週5日実践して、週末は普通に食べるとか、柔軟に調整してOKです。
2019年のCell Metabolism誌の研究でも、週単位で空腹時間を確保できていれば効果は得られることが示されています。
Q4: 女性でも大丈夫?
A: 基本的には大丈夫ですが、ホルモンバランスへの影響がまだ不明確な部分もあります。生理周期に影響が出たら、一旦中止して専門家に相談してください。
まとめ:二択じゃない、バランスを取る発想
今回調べた限りでは、筋肉とオートファジーの両立は、時間軸で考えれば可能です。
ポイントをまとめると:
- mTORとオートファジーは同時にONにならない - でも、1日の中で切り替えることはできる
- 16時間の空腹でオートファジーは活性化し始める - 12〜24時間の範囲で、自分に合う時間を見つける
- 総カロリーとタンパク質量が確保できれば、筋肉は維持・増加する - 食事のタイミングより、総量が大事
- トレーニングタイミングは柔軟に - 空腹トレーニングでも、後で栄養補給すれば問題なし
- 完璧主義より、継続できる柔軟性 - 週単位で見て、空腹時間を確保できていればOK
大事なのは、「筋肉かオートファジーか」の二択じゃなくて、**「どうバランスを取るか」**っていう視点です。
極端にならず、自分の体と相談しながら、無理なく続けられる方法を見つけていく。
そのための一つの選択肢として、時間制限食は試してみる価値があるんじゃないかな、と。
次のアクション:
- まずは12時間断食から試してみる
- 体調や筋力の変化を記録する
- 2週間続けて、自分に合うか判断する
みなさんも、もし興味があれば、無理のない範囲で試してみてください。 一緒に健康で、筋肉もあって、長生きできる方法を探っていきましょう!
参考文献・出典
[1] Sabatini, D.M. (2017). Twenty-five years of mTOR: Uncovering the link from nutrients to growth. Proceedings of the National Academy of Sciences USA, 114(45), 11818-11825.
[2] The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2016 - Yoshinori Ohsumi "for his discoveries of mechanisms for autophagy"
[3] Nutrition & Metabolism (2025). mTOR-autophagy axis regulation by intermittent fasting promotes skeletal muscle growth and differentiation.
[4] Moro, T. et al. (2016). Effects of eight weeks of time-restricted feeding (16/8) on basal metabolism, maximal strength, body composition, inflammation, and cardiovascular risk factors in resistance-trained males. Journal of Translational Medicine, 14, 290.
[5] Rasmussen, B.B. et al. (2009). Regulation of human skeletal muscle protein metabolism. American Journal of Physiology.
[6] Klionsky, D.J. et al. (2010). Autophagy in major human diseases. Autophagy.
[7] Lieberman, D. (2013). The Story of the Human Body. Nature.
[8] Gonzalez, J. et al. (2018). Breakfast and exercise contingently affect postprandial metabolism and energy balance in physically active males. Journal of the International Society of Sports Nutrition.
[9] Sears, D. et al. (2021). Mechanisms of circadian eating pattern effects on metabolic health. Nutrients.
[10] Hu, F. et al. (2020). Effects of Time-Restricted Eating on Weight Loss and Other Metabolic Parameters: A Systematic Review and Meta-Analysis. Annual Review of Nutrition.
